「翼は風に乗る」
パメカ
どうやら、ご都合がよろしいようですね。
さて、本の装丁とひとことで言っても、芯紙、表紙、綴じ紐など、様々なものが必要になります。
それらの材質に決まりはなく、木材、布、皮革など、自分に選ぶことができます。
そのあたりは職人としてのこだわりもあるでしょうし、キミの判断で「真新しい装丁部材」の準備をお願いします。
その後にデモウェニ君から物語を聞いて、仕上げを行いましょう!
パメカ
これは、なんと素晴らしい品質でしょう・・・・・・ああ、早く本を完成させて、その匂いを嗅ぎたい!
パメカ
さて、準備が整いましたね。
さっそく口述筆記を開始いたしましょう。
デモウェニ
これからお話しするのは、ハヌハヌ族が代々語り継いできたものだそうです。
そのうちのいくつかの代表的なものを語りましょう。
まずはじめは、彼らが信仰する神、そして大切に育てている作物との出会いの物語・・・・・・。
むかしむかし、ハヌハヌ族は雲の上で暮らしておったそうな。
雲上の大地は凍えるほど寒かったけれども外敵はおらず、見な、舞い踊り陽気に日々を過ごしていたという。
ところがあるとき、恐ろしき暴風雨が彼らを襲った。
吹き付ける雨風はあまりに激しく、ついには家が崩れ
ひと組の夫婦が雲より落ちてしまったそうな。
ところがところが、ふたりは海に落ちなかった。
なんと島ほどに大きな鳥が現れ、彼らを背に乗せたのだ。
この心優しき鳥は、風に乗って海を越え、ついに見知らぬ大陸に・・・・・・そうトラルに降り立った。
ようやくようやく、ふたりは大地を踏みしめたわけだが、長旅の末に気力体力、魔力は底をついておったそうな。
どこかに食べ物はないか・・・・・・夫婦が周囲を見渡したとき、彼らを運んできた鳥が、眼前に青々と茂る葦をついばんだ。
それに倣って、ふたりが葦を食べると・・・・・・甘やかな味が溢れ出し、みるみるうちに元気になり、さらには羽根の色までが鮮やかに変じたという。
以来、彼らは自ら救った大鳥キシャイヒーを神と崇め、葦を大切に育てながら、多くの子を成したのである・・・・・・。
パメカ
どうですか、さにすと君。
今の物語にふさわしい装丁のイメージ、湧いてきましたか?
それはよかった!
お話はまだ続くようですから、こちらが筆記している傍らで、用意した部材を加工して装丁を完成させてください。
デモウェニ
ああ、僕が語った内容が本になるだなんて・・・・・・!
自分じゃまだ読めないけれど、とっても嬉しいよ!
パメカ
口伝の物語は、語る者がいなくなれば消えてなくなります。
それを本という形で残すのは、とても意義深いことかと。
・・・・・・なーんて、堅苦しいことは抜きにして、単純に、面白いお話が聞けて楽しかったですね!
さにすと
ハヌハヌ族の出自に心当たりが・・・・・・
パメカ
空の上、雲海の島々に暮らすバヌバヌ族ですか・・・・・・たしかに、ハヌハヌ族の物語と状況が似ていますし、ルーツを同じくするのかもしれませんね。
デモウェニ
この物語のほかにも、僕は、本当にたくさんの話を聞いてきたんだ。
たとえば、この前ペルペル族のお客さんから聞いた話も、とても興味深かったから、次はそれを本に記してほしいな。
もっとうまく伝えられるよう、そのときまでに、しゃべる内容をまとめておくよ。
パメラ
ぜひぜひ。
こちらはいつでも大歓迎ですよ。
キミと私の共同作業、うまくいきましたね。
また次も依頼があるようですから、よろしくお願いします!
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