「仕事の早い金荒物屋」
ラルソジ
さにすと!
声をかけてくれて助かった、急ぎの仕事が入ったんだ。
依頼主は、行商でトライヨラを訪ねているペルペル族だ。
出発までにできるだけたくさん、「トラベルランタン」を用意してほしいとのこと。
自分たちが使うのはもちろん、里に持ち帰って、仲間にも売りたいらしい。
ふたりとも、よろしく頼むよ。
パパーニ
ええと・・・・・・!!
その「トラベルランタン」は、アルパカに下げて使うもの?
それとも、人が持つもの?
使い方によって要求される強度も変わるし、大きさや持ちやすさも考えたくて・・・・・・!
ラルソジ
相変わらずの凝り性だな・・・・・・。
わかったわかった、作業しながら教えるから!
パパーニ
さにすとさん、あなたは・・・・・・詳しい要件を聞かなくても大丈夫なの?
さにすと
ペルペル族の暮らしを知っているので大丈夫
パパーニ
なるほど・・・・・・。
私は外に出てなかったから、知見が足りないのかもしれない・・・・・・。
だから使う人の目線がわからなくて手間取るんじゃ・・・・・・?
いったいどうしたら・・・・・・。
いや、でも、今は目の前の仕事に集中しないと・・・・・・。
ラルソジ
こいつに教えるのは、俺がやっとく。
すまんが、大至急「トラベルランタン」を6つ頼む!
―パパーニ
行商で使うということは、利便性と頑丈さを両立したうえで、軽量にするのも大事だから、そのために必要なのは・・・・・・。
うう、頭が混乱してきた・・・・・・!
ラルソジ
ああ、俺がつくるよりもずっと立派で、使いやすそうな「トラベルランタン」だ!
これがあれば、夜の悪路だって安心して進めるだろう。
おや、もう出立の時間か?
ペルペル族の行商人
ういうい、もらっていくよ、できあがっている分の「トラベルランタン」を。
ラルソジ
ちょうどよかった。
今しがた、このさにすとが、仕上げたものを持ってきてくれたところだ。
ペルペル族の行商人
素晴らしい品だね。
限られた時間で作ってくれて、とてもありがたい。
ラルソジ
あんたたち商売人にとっては、時間も金も同然・・・・・・出立前に、満足いく品を渡せてよかったよ。
ペルペル族の行商人
ああ、助かるよ。
ではよい商いを、これからも。
ラルソジ
さにすと。
あんたのおかげで、なんとかなってよかった。
それというのも・・・・・・当の本人が一番わかっているだろうが、今回パパーニはひとつも完成させられなかったんだ。
お客には時間がないことは伝えたはずだ。
行商にランタンがなければ、どうなるかくらいはわかるだろ?
できるだけ早く、依頼品を納めるのが信条だと伝えてるはずだ!
ここで働く気があるなら、頼むから、手早く製作を済ませてくれ・・・・・・!
パパーニ
うっ・・・・・・ぐっ・・・・・・ごべんなざい・・・・・・!!
さにすとさんみたいに、品質と仕事の早さを両立するなんて技術、私にはない・・・・・・。
でも、でも・・・・・・!
私はどうしても、品質を無視することはできない!
手にとってくれる人には、心地よく使ってほしいから!
それは元壺匠として、そして職人として、譲れない私の矜持・・・・・・!
私は壺匠を辞めるべきじゃなかった!
やっぱりモブリン族のところに戻らせてもらいますっ!
ラルソジ
なっ、おい・・・・・・!!
モブリン族・・・・・・?
どうして彼らの話がでてくる?
いやはや、さにすと。
うちの店のことですまねぇ・・・・・・。
俺自身、人を雇うことに慣れてねぇから、パパーニを混乱させちまったのかもしれねぇ。
ちょっと頭を整理してから・・・・・・改めて話をしていいか?
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