「理想の飲料作り」
シェーロジャ
ここまで作ってきた新メニューは、どれも好評だわ。
おかげさまで、売り上げの方も順調よ。
でも、実を言うと今までは挑めなかった難題があってね。
そろそろ取り組んでみようかと思っているの。
ペルペル族向けのジュースを作ってみたいのだけど・・・・・・。
彼らは「マテ茶」「コーヒー」「メスカル」を作っていて、ジュースよりもそちらを好む傾向があるのよ。
特にマテ茶なんて、健康に良いことで有名だわ。
そのおかげか、ペルペル族が体調で悩むような話を、私は聞いたことがないわね。
ハレナルク
ペルペル族 飲み物 強ォーいぞ・・・・・・
マテ茶とてとて 身体に良いゴブー
シェーロジャ
問題がないなら、それはそれで喜ばしいことね。
だけど、もしペルペル図族に密かな悩みがあるなら、寄り添って解決したいと思うの。
さにすと、ハレナルク。
遠出になって悪いけど、我らの住まうオルコ・パチャまで、一緒に行ってもらえないかしら?
ハレナルク
ペルペル族の お悩み解決―
シェーロジャジュース 評判良くするー!
シェーロジャ
ありがとう!
私は店じまいしてから向かうから、ふたりは先に、現地で聞き込みを頼めるかしら?
ハレナルク
さにすと・・・・・・「ワチュン・ペロ」まで 向かうモブ―!
―シェーロジャ
「ワチュン・ペロ」で、まずハレナルクと合流してくれる?
提案しておいて、あとから向かう形になってしまって悪いわね。
ハレナルク
フゴォ・・・・・・フゴォ・・・・・・
さにすと 待ってたモブ―
飲み物詳しい ペルペル族・・・・・・ わかれて 探して 話聞くー
情報集めて ここ戻るー
その頃 シェーロジャ 追いつくはずー モブがまだなら ふたりで話してー
コーベリ
飲み物について聞きたいの?
ういうい、いくらでも語っちゃうよ、コーヒーのこと。
ペルペル族が栽培しているコーヒーの苗は、もともとヨカ・トラル南東の島でもらってきたものでね。
かの地でコーヒーを飲んだ仲間は、その香りと味の虜となり、さらに、頭がシャキッっとして集中力が増す効果にも惹かれた。
そして自分たちで栽培すべく、こっちに持ち帰ったってわけ。
幸い、コーヒーはうまく育ってくれた。
一方で、収穫した豆で淹れたコーヒーの味は、持ち帰ってきた元々の豆の味と大きく違ったんだ!
どうやら風土によってコーヒーの酸味や苦味、コクなんかが、結構変わるみたい。
いつかはいろんな都市で育てて、味の違いを試してみたいわね。
―コーベリ
コーヒーは苦味を楽しまれてるだけじゃなくて、頭がシャキッとして、集中力が増すんだ。
ズーベリ
メスカルのことを聞きたいか?
もう知っているかもしれないが、アガベの樹液をもとに蒸留して作る酒だよ、メスカルは。
サカ・トラルでとある行商が上流の方法がオルコ・パチャに広間あった。それが今日の俺たちにまで伝わってるんだってさ。
―ズーベリ
ここで作ってるお酒だ、メスカルは。
アガベの樹液をもとに蒸留して作るんだよ。
ワーベル
飲み物について聞きたいって?
もちろん構わないわ。
健康にとーってもいいのよ、マテ茶は!
オルコ・パチャは標高が高く寒冷で、育つ作物が限られるの。
そのせいでね、摂れる栄養が偏っていたのよ。
でも栄養たっぷりのマテ茶が栽培されて、飲むようになってから、みんな元気になったんだって!
よく飲むんだよねー、私も!
―ワーベル
栄養たっぷりのマテ茶を飲むようになってからは、みんな元気になったんだって!
シェーロジャ
遅くなったけれど、今到着したところよ。
さにすと、何か情報は掴めた?
なるほど、興味深い内容ね。
人気飲料の製法や歴史までは私も知らなかった。
けれど、聞けば聞くほどわからなくなるわ。
私たちがどんなジュースを作れば喜ばれるのか・・・・・・。
そういえば、ハレナルクはまだ聞き込みをしてるのよね。
集落のどこかにいるでしょうから、合流して、話を聞いてみるとしましょう。
―シェーロジャ
あら?
この村人さんは・・・・・・。
―酒好きなペルペル族
ういー・・・・・・っく、ういういー・・・・・・。
ハレナルク
さにすと、シェーロジャ?
このペルペル なんかヘロヘロ 助けたいー
酒好きなペルペル族
ういー・・・・・・っく・・・・・・。
頭がー・・・・・・ガンガン、するー・・・・・・。
シェーロジャ
彼のこの症状は・・・・・・なるほど。
介抱してあげたいところだけど・・・・・・。
酒好きなペルペル族
・・・・・・いらない、よー、介抱なんて。
なんとかなるんだ、マテ茶さえあれば・・・・・・。
シェーロジャ
・・・・・・少し待っていてもらえる?
マテ茶より、今の彼に必要な飲み物をもらってくるから。
酒好きなペルペル族
ああ、楽になった!
今の冷たくてさわやかな飲み物はなんだったんだい?
シェーロジャ
ただの水よ。
そこの店で買ってきた、本当に普通の。
貴方、お酒の飲みすぎよ。
そういうときは純粋な水分の方がいいの。
いくらマテ茶でも、なんでも解決するわけじゃないから。
・・・・・・ふむ・・・・・・マテ茶で解決しない、か。
酒好きなペルペル族
すごい、そこまで的確に看てくれたんだ!
お医者さまみたいだったよ、まるで!
シェーロジャ
医者・・・・・・とは、違うのだけれど・・・・・・。
ハレナルク
介抱 手際 カンペキだった・・・・・・
シェーロジャ 呪術医 なぜならない?
気になる 気になる どうしても・・・・・・。
知識あって 腕も良い これならお医者 なれるはず!
もしや 力が足りないって 言ってたの・・・・・・ それと関係 あることかー?
シェーロジャ
・・・・・・足りない力って言うのは、知識のことじゃないの。
私は魔力が少なく、魔法を扱えなかった。
本来、ブネワ族ならほぼ誰でも扱えるにもかかわらずね。
呪術医の治療術は、薬と魔法のふたつを組み合わせたもの。
その片方を上手く扱えないんじゃ・・・・・・気持ちだけでは、どうにもならなかったの。
それがわかったとき、期待してくれていた家族は、目に見えてがっかりしていたわ・・・・・・。
魔力を持たないブネワ族なんて、落ちこぼれも良いところだもの。
ハレナルク
そんなの少しも 思わない 落ちこぼれなんて 思わない!
シェーロジャ 飲み物 とっても素敵 卑下する必要 ぜんぜんない!
シェーロジャ
ありがとう・・・・・・。
ただ・・・・・・私がブネワ族として半端者で、夢を叶えられなかったことは、変えられないことだから・・・・・・。
・・・・・・ごめんなさい、昔を思い出したら気持ちが・・・・・・。
少し、ひとりにさせてほしい。
ハレナルク
知らなかった シェーロジャの夢・・・・・・
さにすと あっちでちょっと お話しよう モブも反省 相談したいー
ハレナルク
フゴォ・・・・・・フゴォ・・・・・・ いらないこと 言ったモブ・・・・・・ おかげで シェーロジャ 傷ついた・・・・・・
魔力なくても お店はじめて みんなのために頑張ってる それって立派な ことなのにー!
だから シェーロジャのために とてとてウマウマ ジュースを作ろう!
ゴクゴク飲んで ジュース作り 前向きにー!
ありがと ありがとモブ―!
ちょうどいい物 交渉ついでに ペルペル族から買っていたー。
それはそれは 「ヨカ・ククルポッド」!
いつもは ビーンの部分で作る みんな大好きチョコレート でもでも今日は使わない ビーンを包む果肉(パルプ)を絞って おいしいジュース 作るモブ―!
つまりは 「ククルパルプジュース」!
シェーロジャのために どうかよろしく できたら直接 届けてあげてー
材料たりなきゃ モブに言う ふたりで一緒に がんばろうー!!
―ハレナルク
「ククルパルプジュース」 できたモブ?
さっそく シェーロジャ 飲ますモブー!
シェーロジャ
あら・・・・・・?
なんだか甘い香りが・・・・・・。
これは・・・・・・作ってくれたの?
気を遣わせてしまったのね、ごめんなさい。
さっそくいただいてみるわ。
なんだか、優しい甘酸っぱさね。
程よい粘りのある喉ごしが、気持ちを和らげてくれる・・・・・・。
ハレナルク
フゴォ・・・・・・フゴォ・・・・・・ シェーロジャ ジュース 飲んだモブ?
シェーロジャ
ええ、美味しかったわ、ありがとう。
さにすとと一緒に用意してくれたようだけど、材料はいったい・・・・・・?
ククルビーン 包む果肉ー さにすと パルプ使って ジュース作ったー
シェーロジャ
こんなジュース、恥ずかしいけど知らなかったわ。
本当に美味しかったし、トライヨラでもっと流通して良さそうだけど・・・・・・。
ハレナルク
高く売れるの ククルビーンー ヨカ・ククルポッド 丸ごと運ぶと とてとてヘビー・・・・・・ 種だけ取って ほか捨てるー
シェーロジャ
捨てる・・・・・・そうだったの。
まぁ、チョコレートはトライヨラでも人気があるし、効率的に運ぶのは当然ね。
ハレナルク
だけど 今後は持ち帰るー 誰かがいらない 誰かはほしい・・・・・・ 飲み物も 仕事も 同じことー
呪術医なれない ジュース屋やれるー シェーロジャ同じ ジュースと同じ!
ブネワ族働くのに 魔法を使わなくたっていい!
さにすと
今までのお客さんの笑顔を思い出して
シェーロジャ
ふたりの言うとおりね・・・・・・。
私はずっと、この手では人は癒やせないという、夢を諦めた過去を引きずってきてしまった・・・・・・。
マムージャ族も、モブリン族も、ハヌハヌ族も、私の・・・・・・私たちのジュースで健康になって、喜んでくれた。
それは確かなことだものね。
魔力がないブネワ族だってこと、ずっと恥ずかしかった。
この気持ちを簡単には捨てられない・・・・・・。
だけど、励まして期待してくれるふたりに応えたい。
どうかこれからも、私に力を貸してもらくれる?
ありがとう、ふたりとも・・・・・・。
私のすべきことを示してくれて。
私のせいで、随分と話が逸れてしまってごめんなさい。
ペルペル族のことも、一連のことでヒントを掴めたから、トライヨラへ戻るとしましょう。
―ハレナルク
フゴォ・・・・・・フゴォ・・・・・・
シェーロジャ なんとか 元気になったー モブたちふたりの 励まし効いた?
シェーロジャ
戻ってきたわね。
遠出したうえ、私のことで手を煩わせてしまってごめんなさい。
あのお酒好きなペルペル族を見て、彼らの飲み物でも解消できない問題があると知ったわ。
少し確かめたいことがあるから、時間をちょうだい。
さにすとの手が必要になったら、また協力をお願いさせてもらうわね。
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