「王宮御用達の金荒物屋」
ラルソジ
さにすと、パパーニ・・・・・・!
宮廷祭司殿から連絡があったぞ!
王族向けの品を依頼するにあたって、説明のために王宮まで出向いてほしいそうだ。
俺たちは先に向かおう。
さにすとも準備ができ次第、ヴォロク連王宮前の「連なる丘」まで来てくれると助かる。
―パパーニ
王宮にはきと、素晴らしい意匠の品々があるはず!
いいなぁ、ちらっと見て帰りたい・・・・・・!
―ラルソジ
この階段の上が連王宮か!
今までは仕事ばかりでほとんど縁がなかったが・・・・・・やはりとんでもなくデカい場所だな。
ブネワ族の宮廷祭司
ああ、「金荒物屋ラルソジ」の皆様。
ご足労いただき、感謝します。
この度は、王宮で用いる金属製品を、正式に依頼できる運びとなりましてね。
さっそく、具体的な話をしても?
ラルソジ
もちろんだ。
どんな品を求めておられるか、お聞かせ願いたい。
ブネワ族の宮廷祭司
製作をお願いしたいのは、対の「金煌の採火器」です。
パパーニ
採火器・・・・・・?
初めて聞く道具だけど、それはどのような品で・・・・・・?
ブネワ族の宮廷祭司
太陽の光を一点に集め、火を熾(おこ)す道具ですよ。
湾曲した鏡とでもいいましょうか・・・・・・。
マムージャ族は太陽の光を尊ぶ文化があり、その光から採った火には、魔を祓う力があるとされているのです。
王宮内の篝火は、すべて採火器の火を使っているのですよ。
ラルソジ
なるほど・・・・・・。
ところで、さきほど対と申されたのは、つまり・・・・・・
ブネワ族の宮廷祭司
ええ、ウクラマト様とコーナ様という新たな連王が即位した今、あの方々が儀礼でお使いできるよう、できるだけ早く・・・・・・新たな「金煌の採火器」をご用意したいのです。
ですが、採火器というものは、ほんの少しでも歪みがあれば、太陽の光を束ねることはできず火も熾せません。
また微かな曇りがあれば、着火に要する時間もかかる・・・・・・。
つまり構造は単純ながら、高い技術力が求められ、よほど腕のいい職人でないと作れない品、というわけです。
お願い、できますか?
ラルソジ
職人の魂にかけて、やり遂げてみせよう。
ブネワ族の宮廷祭司
快諾に感謝します。
では、以前の技師が作成した図面の写しを、参考として貴方がたにお譲りいたしましょう。
ですがこれはあくまでグルージャジャ様の特注品。
同じものを作るのではなく、新たな連王をふさわしい品をお願いいたします。
ラルソジ
ああ、任せてくれ。
じゃあ、俺たちは一度店に戻って、詳しい作業の話をするか。
―ブネワ族の宮廷祭司
前回の香炉も、とても良い出来栄えでした。
ウクラマト様のご友人である貴方が協力しているのであれば、今回も素晴らしい品が期待できそうですね。
―パパーニ
太陽の光を集めるのなら、形状を工夫しなければ・・・・・・。
もちろん反射のために鏡面を磨き上げる必要もあるし、台座の強度を気にしたうえで、王宮にふさわしい細工も・・・・・・。
ラルソジ
祭司殿からもらった図面は、えらく精巧に書き込まれてる。
もしかすると、かつてこれを作ったのは壺匠だったのかもな。
太陽の向きに合わせて角度を変えられるような土台、極限まで磨きあげる丸みを帯びた鏡面、そして王族が使うふさわしい意匠、か・・・・・・。
かつてないほど難度の高い金属加工の依頼だ。
おそらく、俺とパパーニのふたりで力を合わせても、ひとつ仕上げるので精いっぱいだろう。
その代わり最高のものを作ってみせるから、さにすと、あんたの腕を見込んで、もうひとつの「金煌の採火器」製作を頼みたい。
きっと、ウクラマト様とコーナ様も、あんたが作ったものを喜んでくださると思うんだ。
パパーニ
ええ、連王様とお知り合いのあなたに意匠はお任せします!
きっと完成は私たちより早いだろうし、仕上げ担当の私が、意匠と品質を、あなたのものに並ぶよう高めてみせる!
必要そうな素材は、店に戻りがてら、ベイサイド・ベヴィーで仕入れてきました!
足りなくなったら、いつでも言って!
―パパーニ
「金煌の採火器部材」なら、十分に用意があります。
王宮からの依頼品の製作、一緒に頑張りましょう!
―パパーニ
わっ、すごい!
もう完成・・・・・・!?
ぜひ「ラルソジ」さんにも見せてあげてください!
ラルソジ
「金煌の採火器」の製作は一筋縄じゃいかないだろうが・・・・・・進捗状況はどうだ?
もうできたのか!
製作の早さもさることながら、品質も申し分なさそうだな!
俺たちの方は、俺の作業がさっき終わって、パパーニに仕上げを託したところだ。
完成次第、すぐに祭司殿のもとへ持っていくぞ!
ブネワ族の宮廷祭司
お待ちしておりました、「金荒物屋ラルソジ」の皆様。
依頼した品は、こちらですね?
ラルソジ
ああ、さにすとの協力のもと、俺たち三人で対の採火器を製作した。
新たな連王様にふさわしい採火器に仕上がったはずだ。
ブネワ族の宮廷祭司
おお、この曇りなき鏡面たるや・・・・・・!
新連王陛下の祭具にふさわしい、美しい仕上がりですね。
とはいえ、実用品でもありますから、重要なのはその機能・・・・・・。
きちんと太陽の光を集められるか、まずはこの場で、試させていただきましょう。
パパーニ
やったぁ・・・・・・!
ブネワ族の宮廷祭司
どちらも、こんなにも素早く採火できるとは・・・・・・!
実用面でも素晴らしい逸品ですね!
貴方がたに金煌の採火器を依頼してよかった。
新しい連王様も、きっとこの逸品をお喜びになるでしょう。
そして、店主殿。
「金荒物屋ラルソジ」を、新たな王宮御用達として認定し、今後もお取引を継続させていただいても?
ラルソジ
俺の店が王宮御用達のひとつとして名を挙げられるのは、職人としてこの上ない誉れだ。
謹んでお受けする。
王族にふさわしい高品質な金属製品が必要になったときは、ご一報を・・・・・・すぐさま駆けつけると、ここに誓おう!
ブネワ族の宮廷祭司
こんなにも素晴らしい店がトライヨラにあるとは、頼もしい限りです。
では、報酬や王宮御用達の認定書はあとから店に送りましょう。
今回のお働きに、心から感謝します。
―パパーニ
祭司様のお褒めの言葉が、職人冥利に尽きて・・・・・・!
職人を続けててよかったなぁ・・・・・・!
ラルソジ
さにすと、ありがとう!
あれだけの仕事を完遂できたのは、あんたがいてくれたからだ。
パパーニが出ていったときも、あんたなしでは追いかけることすらできなかっただろう。
己の未熟さゆえに、俺は仕事の早さだけを売りにしてきた。
そんな俺が構えた店が、ふたりの力を借りて、まさか王宮御用達になれるなんてよ・・・・・・!
ううっ・・・・・・!
感無量だ・・・・・・!
パパーニ
ラルソジさんたら・・・・・・!
私からも、お礼を言わせてほしいです!
慣れた環境を離れ、新たな仕事にも馴染めずにいた私が、こうして居場所を見つけられたのは、本当にあなたのおかげ。
これからは、自分の長所を活かして、お客さんが本当に必要としていることに向き合いながら、日用品を製作して、届けていきます!
ラルソジ
パパーニの言うとおり、俺たちはやっと、あんたの手を借りずに店をやっていけそうだ。
これからはどんな依頼も受け入れられる、仕事の早さと品質を兼ね備えた、金荒物の店としてな!
さにすと
応援してる!
ラルソジ
ああ、激励ありがとよ!
パパーニとともに、あんたのような職人を目指していくよ。
ほんっとうに世話になった!
これからも「金荒物屋ラルソジ」をよろしくな!
―パパーニ
さにすとさん、いらっしゃいませ!
今日は日用品のお求めですか?
それとも声をかけにきてくれたんです!?
よければ、お暇があるときにでも、外つ国の金属加工について、もっと教えてくれませんか?
あなたの技術は本当に素晴らしくて・・・・・・!
―ラルソジ
あんたと仕事できたことで、大いに学ばせてもらった。
これからは自分で自分を見限らずに・・・・・・職人として邁進していくよ。
よければパパーニにも挨拶してやってくれ。
こいつもあんたのことを、心底尊敬しているからな。
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