【FF14】万魔殿パンデモニウム天獄編⑤ パッチ6.4

パッチ6.4「玉座の咎人」万魔殿パンデモニウム天獄編

「「星」に願いを」

 

ストーリーテキスト

ラハブレア
・・・・・・・・・・・・エリディブスの言葉を聞いただろう。この者の目覚めを待つのだ。
ことが終わった今、お前にもうひとつ聞いておきたい。
お前が不在の間に、ネムジジという娘から、その名を聞き出した・・・・・・。魔大陸で消えたという「アシエン・ラハブレア」のことだ。
彼女は、あくまで記録でしかその存在を知らず、私と同一の存在だという確証はないと、気を遣っていたがな。
しかし、「黒聖石サビク」を手に活動していたと知りながら、もっとも高い可能性から目をそらすのは、愚かというもの。
直接、相対したお前から証言を得ておきたい。霊災なる現象を起こさんと暗躍していたアシエン・ラハブレア。そやつは・・・・・・私、ラハブレアの未来の姿だな?

リフィル
同一人物だ。

ラハブレア
・・・・・・断言するか。お前がそう言うのならば、私も受け入れよう。
アシエン、またの名を天使い、分断された世界を統合するために暗躍する者たち・・・・・・。目的のためには、信じがたい所業にも手を染めていたそうだな?
星を善くすることを信じ、だからこそ分断された世界において「悪」となったか。
・・・・・・私らしい結末だ。長い時を経て、己すら擦り切れようとも、星のために掲げた信念は揺るがなかったと見える。
目的のため、妻が遺したサビクすら利用したのだから、何を失おうと、いっこうに構わなかったらしい。ラハブレアとして、すべてこの星のために・・・・・・。
もっとも、私は最後までサビクの表層しか理解できず、ただの「力」としてしか、認識していなかったようだがな。それもまた・・・・・・皮肉なことだ。


テミス
リフィル、ラハブレア。クローディエンが目を覚ましたようだ。

クローディエン
リフィルさん、かすかに覚えがあります。貴方がアテナを倒してくださったこと・・・・・・。
それに・・・・・・そこにいたんですね。
ラハブレアさん・・・・・・。この身に飛び込んできたエリクトニオスさんの記憶が、すべてを教えてくれました。
ラハブレアの厳格さは、さながら炎のよう。息子としての彼の心を焼き、大きな痛みをもたらしました。
ですが、その厳しさは決して私欲によるものではない。すべての責任を抱え、何ひとつ捨てようとしなかった。だから・・・・・・!

ラハブレア
・・・・・・そこまでだ。エリクトニオスの記憶を得たとはいえ、転生を果たした以上、お前はお前という別の個だと私は考える。
ならばこの時代において、私とお前は敵対関係にもあるはず。そのような相手を肯定する言葉を口にすべきではない。

クローディエン
ええ、アシエン・ラハブレアの所業は決して肯定できません。今の貴方はアシエンではなく、ただの「ラハブレア」のはず。
そして、今を生きる我々の脅威ともなっていた、アテナを退けるために、力を尽くしてくださった。その行いに・・・・・・心からの感謝を。

ラハブレア
・・・・・・詭弁と言われても仕方のない発言だ。ここだけの言葉にしておけ。
今度こそ、パンデモニウムを巡る事件は集結した。しかし、まだいくばくかの謎が残っている。
そのひとつが、「誰がヘファイストスの封印を解いたのか」だ。興味があるならば、過去のパンデモニウムに向かえ。そこに、答えがあるだろう。
ただし、過去の私たちには、アテナに関する事柄は伏せておけ。何を話したところで、私の選ぶ道は変わらぬが・・・・・・あの時代で知り得ぬ情報を与えることもない。
さあ、これで伝えるべきことはすべて伝えた。私も・・・・・・エリクトニオスに続くとしよう。
忌まわしき記憶は、ただ消えゆくのみ。これが、ラハブレアの最期。
・・・・・・さらばだ。


私に与えられた時間もだいぶ少なくなってきたが・・・・・・まだ、消滅までは多少の時間が遺されている。最後の顛末を聞くまで付き合わせてくれ。
ラハブレアの言葉を確かめに、過去へと向かうのだろう?あの時代で、テミス自身が体験したことではあるのだが、君の目にどう映ったかは、ここにいる私しか聞けないからね。
ありがとう。では、さっそく過去のパンデモニウムへと向かうといい。この星海で、君との最後の語らいを楽しみに待っているよ。
―テミス
さあ、エルピスを経由して過去のパンデモニウムへ。あちらのラハブレアに会い、残った「謎」の答えを、確かめておいで。
―クローディエン
私も、ここで貴方のご帰還を待ちます。体力も回復しきっていないですし・・・・・・貴方とテミスさんに、お話ししたいこともありまして。
―ネムジジ
私とルイスノは、アポリア本部へ戻り、取り急ぎ、フルシュノ様へ報告を行おうと思います。
―ルイスノ
今回の事件で、星海にどんな影響が出ているのか・・・・・・。先生には、はやく回復してもらって、調査を行っていただかないと!

 

 


―ヘーゲモネー
貴方は・・・・・・リフィル様ですね。私はヘーゲモネー、煉獄層の獄卒長・・・・・・。半神として、貴方の前に立ちはだかった者です。
おかげさまで、こうして本来の姿を取り戻し、いまは監獄内の被害状況を確認しております。ラハブレア様たちは、パンデモニウムの深層におりますよ。

 

―テミス
訪問ありがとう。ここに来るまで、ヘーゲモネーや獄卒たちの姿を見たかい?だいぶ、彼らの救助も進んできたところさ。
―エリクトニオス
リフィル、思ったよりも早い再会だったな!・・・・・・でも、その不可思議な微笑みはどうしたんだ?

ラハブレア
おや、もはや会うこともないと思っていたが・・・・・・いったい何を企んでの再訪だ?

リフィル
答えを探しにきた。

ラハブレア
また、訳のわからぬことを。我らは、パンデモニウムを本来の状態に戻すべく、粛々と活動をしているだけだが・・・・・・?

テミス
わざわざ訪ねてきてくれたんだ、そう無碍にするものじゃない。ともにパンデモニウムを攻略した仲なんだから、こちらの状況を、彼女にも共有しようじゃないか。
まず、私が持っていたパンデモニウムの管理者としての権限は、早々にラハブレアへと返還したよ。それが、この監獄のあるべき状態だからね。
ラハブレアの協力もあり、半神ヘーミテオスの研究に対する解析も無事に終わった。ヘーゲモネーや獄卒を本来の姿に戻せたのも、その成果だ。
被害状況の確認や、失った獄卒長の後任など・・・・・・片付けなければならない課題は、数多く残されている。
それでも、パンデモニウムを取り巻く事件としては、もうすぐ終わりを迎えられると言ってもいいと思う。
だが・・・・・・終わりを迎えるためには、まだ、解決せねばならない問題が残っている。
パンデモニウムに関する問題と、私の個人的な問題・・・・・・。これらを放置していては、私はこの先へと進めない。
解決方法はすぐそこに見えていた。それを実行に移す「覚悟」が足りていなかったのだ。だが、私は・・・・・・私であるため、この道を選ぶことを決めよう。

エリクトニオス
ラハブレア、お前にそうまで言わせるなんて・・・・・・。その問題とは、いったい何なんだ?

ラハブレア
・・・・・・その目で、直接確かめろ。
お前もまさか、決意が固まったところに現れるとは。ここまできて帰れとは言わぬが・・・・・・。この先、何が起きようと決して邪魔はするなよ。

 


ラハブレア
お前たちは、そこで待っていろ。すぐに済む・・・・・・。

ヘーゲモネー
ラハブレア様、ここに呼び出して何を?まだ、獄卒たちの状況把握も終わっていませんが・・・・・・。

ラハブレア
お前は、アテナが長官だった頃より、この獄を守ってきた。アグディスティスを失った今、もっとも古参の獄卒だということになる。
そして唯一の獄卒長でもあるお前に・・・・・・ひとつ、私の秘密を伝えておくべきだったと思ってな。
ヘファイストスをこの身より切り離したとき、私は、己の魂を一部失っている。
それは必要な代償だったが、当然その分だけ我が能力は減衰した。十四人委員会の一員として、ラハブレアの座に選ばれた、あの頃のような力は、もう私にはないのだ。
ヘファイストスが行っていたような精神呪縛はもちろん、その解除すら、今ここにいるラハブレアだけでは難しいだろう。

ヘーゲモネー
そのような弱音、ラハブレア様から聞きたくありません。どうか、強き心で・・・・・・

ラハブレア
あいにく私はただ事実を述べているだけだ。道場など無用に期待してもらいたい。
ヘファイストスは興味深い研究成果を残していた。それによれば、ヘーミテオスに至るには、心の掌握つまり、精神呪縛が不可欠だというのだ、
知ってのとおり、精神呪縛は相手の強い感情に訴えかけるもの。事実、ヘスペロスやアグディスティスは、長官であるラハブレアへの敬愛を利用された・・・・・・。
封印から目覚めたヘファイストスは、獄内を混乱に陥れた。そして、対応に追われる獄卒長の隙をついて精神呪縛を行い、彼らを己に服従させた・・・・・・そうだな?
だが、ここで疑問が生まれる。ヘファイストスが封印下にあったとき、クリスタルから奴を目覚めさせたのは「誰」なのだ?
私は、ずっと疑って来た。事件が起きるはるか以前から、元凶であるアテナによって、精神呪縛をかけられた者がいるのではないかと・・・・・・。
ヘーゲモネー・・・・・・。お前は獄卒長として、パンデモニウムを守るという使命に、誰よりも強い誇りを抱いていた。
だが、お前が思う「正しいパンデモニウム」は、アテナが運用していた頃のそれだったのではないか?

ヘーゲモネー
なっ・・・・・・我が忠誠をお疑いだというのですか?ラハブレア様、どうか私の話を!

エリクトニオス
ラハブレア、何を!?

ラハブレア
何人も、手出しは許さぬ!
すでに述べたように、精神呪縛をかけっられた人物を推測できても、今の私は、呪縛を解くだけの力を有していない・・・・・・。
だが、もう覚悟は決まった。この先、よき星、よき時代を作るためには・・・・・・「力」が必要だ。
この悪しき感情と記憶すら、己の力としよう・・・・・・!
その目に焼き付けよ、そして心に刻み込め。
これぞ、真なるラハブレアだ!


テミス
・・・・・・今の君が抱いている感情がどのようなものか。私には想像すらつかないよ。

エリクトニオス
ラハブレア・・・・・・彼女を処罰したのか?

ラハブレア
罰したといえば、そうなのかもしれないな。

テミス
これは・・・・・・。精神呪縛が解かれている・・・・・・?

ラハブレア
ヘーゲモネーには、まだ利用価値がある。私に敵対心を持った存在であろうと、焼却するのは早いと判断した。
私は、この力で世界をより強く導いていかねばならぬ。これ以上、パンデモニウムにかかずらっている暇はないのだ。 
ヘーゲモネーよ、改めて私に仕えよ。これまでどおりの責任感と誇りを以て、監獄の管理に努めるのだ。

ヘーゲモネー
・・・・・・アテナ様が正しいと、そう考え一度は裏切った。その私を、まだ獄卒長の地位に残すというのですか?

ラハブレア
忌まわしき記憶や力であろうと、目的のためならば躊躇なく使う。そう誓った男が、一度裏切った程度の部下を切り捨ててどうする。

ヘーゲモネー
・・・・・・承知いたしました。獄卒長ヘーゲモネー、その命に従いましょう。ヘスペロス、アグディスティスの分まで、貴方に仕えます。

エリクトニオス
責任感だけではない、あの躊躇のなさと「熱情」。あれが、本物のラハブレアなんだな。

テミス
彼の記憶と力は、この星のために振るわれる。その一点を違えぬ限り、ラハブレアが、アテナと同じ結末を辿ることはないだろう。
ならば、私はおなじ辞意四人委員会の一員として、彼の横に立とう。彼が、星のためという大義すら見失いそうになったときは、この私が、その所業を判じてみせる。

エリクトニオス
ああ・・・・・・。ラハブレアとして在るため、覚悟を決めたというのならば、俺も、その想いを受け止めるつもりだ。
父と子の結びつきは、もう決して途切れさせない。ラハブレアの心は、俺が支える。

ラハブレア
・・・・・・お前は、ほかの者とは違う。ある意味、私と対極にいる女だ。その願いが反目することもあろう。
ならば、お互い決して退かぬであろうことも目に見える。それを思えば、この大恩は・・・・・・忘れておくべきなのかもしれぬな。
獄の外に出て、それぞれの道を行く前に宣言させてもらおう。
何を失おうと、何が立ちはだかろうと、我が覚悟は揺るがぬ。だから、お前も・・・・・・お前の道を貫くがいい。それぞれの願う結末のためにな。
―ヘーゲモネー
この心、とうに見透かされていたのですね・・・・・・。すべての迷いが晴れた今こそ、改めて、ラハブレア様に忠誠を誓いましょう。
―ラハブレア
此度の一件、はからずも過去の忌まわしき記憶や、本当の自分と向き合う羽目になるとはな。そして、それはお前のおかげでもある・・・・・・。
さあ、お前は、お前の在るべきところへ戻るがよい。すべての権限を剥奪され、この監獄に封じられたい・・・・・・というのなら、話は別だが?
―エリクトニオス
リフィル、お前にも宣言しておく。この先は俺なりの方法で、ラハブレアを支えていくよ。そうすることが、俺の未来を形作ることにもなると思うんだ。
―テミス
ラハブレアとヘファイストス、それらがひとつだった頃から、彼は、十四人委員会に名を連ねていたんだ。ならば、何も心配することはないよ。

 

―テミス
おかえり・・・・・・。これで、君は、パンデモニウムで起きた事象のすべてを、その目で見届けたことになるね。

クローディエン
おかえりなさい。貴方をお待ちしている間、テミスさんから、私が囚われていた間の出来事をお伺いしておりました。
そのおかげで、いくつか細かな謎も解けました・・・・・・。たとえば、魔大陸より発せられていたエーテル波長について。
あの思念は、内部にいたアテナからの呼び声だったのでしょう。彼女はずっと、エリクトニオスに代わる存在・・・・・・すなわち、転生先である私を求めていたのです。

テミス
・・・・・・そのことで、ひとつ聞いておきたい。君も最初の売りは、記憶のクリスタルからの思念が、聞こえなかったんだね?

クローディエン
ええ・・・・・・。研究を進めている最中、ふと聞こえるようになったのです。

テミス
おそらく長い年月の中で、魂の性質も変化していたのだろうね。それが、封じられたエリクトニオスの記憶エーテルに触れて、彼の性質が、徐々に呼び覚まされていった・・・・・・。
結果、アテナの思念も聞こえるようになってしまったんだ。魔大陸へ向かうと決めた時点で、もう彼女の思念による、精神的な影響を受けていたのだろう。

クローディエン
たしかにあのとき、妙に単独行動にこだわっていたりと、我ながら、らしくない行動を取っていたと思います。思念の影響を受けていたとはいえ、軽率でした。

テミス
反省は人生につきものだ。とはいえ、仕方のない面もある・・・・・・。
星海から出現したクリスタルが発する、思念の声。自分が、その声の主の転生先だ、などと・・・・・・到底、思い至るわけがないからね。

クローディエン
おふたりとも、ありがとうございます・・・・・・。
それと、記憶のクリスタルについてなのですが、私からもお伝えしたいことがありまして。
先ほど、クリスタルに新たな光が宿っているのに気づいたのです。今回の事件をきっかけに、新たな記憶が読み取れるようになったかもしれません。
エリクトニオスさんとラハブレアさんが、どういった想いでこのクリスタルを残したのか・・・・・・。それが、私の抱えている最後の疑問。
エリクトニオスさんの記憶を得た今なら、私程度の魔力でも、内部の記憶を再現できそうです。試してみてもよいでしょうか・・・・・・。


エリクトニオス
未来の世界に、この記憶を残す。
エルピスにもまた、「終末」が訪れた。創造魔法が暴発し、おぞましい獣が次々と生み出されている。
そんな絶望の只中にあっても、ラハブレアたち十四人委員会には、この事態を収拾する秘策があるらしい。
そして、エリディブス・・・・・・いや、テミスは、そのために殉じるつもりのようだ。
だが、俺たちには、ひとつ心残りがあった。パンデモニウムの獄中にある創造生物たちだ。
終末を乗り越えたとて、世界が安定を取り戻すには時間がかかる。そのような状況で、獄中の不完全かつ危険な存在が、解き放たれればどうなるか・・・・・・。
そこに危険があるのだと、誰かが監視する必要がある。テミスやラハブレアに代わり、俺がその役目を引き受けた。
だからこそ、俺は十四人委員会の方針には従わない。この魂を、星の意思の召喚に捧げることなく、成すべき使命のために残るつもりだ。
だが、それは終末によって俺が消える・・・・・・死ぬ可能性があるということだ。
だから、そうなった場合でも警告を届けられるよう、あの監獄に関する、俺とラハブレアの記憶を込めたクリスタルを、冥界へと流すことにした。
クリスタルは、俺自身の魂に引き寄せられる術をかけてある。魂が冥界に還ったとしても、新たに生まれくるときに、パンデモニウムの危険性を知ることができるよう。
もっとも・・・・・・こうした警告を拾い集めることに長けた、「あいつ」のような女ならば、この声も届くかもしれないな。
あいつは、どうしているかな?このエルピスの底で戦ったように、いまもどこかで、獣と戦っているのか・・・・・・。
・・・・・・リフィル。再開の願いも、この記憶に焼き付けて送ろう。
この記憶が・・・・・・この声が聞こえたら、どうか「パンデモニウム」へと来てくれ・・・・・・!


クローディエン
彼の記憶を、一緒に見ていただき感謝いたします・・・・・・。これで、私の最期の疑問も晴れました。残る興味の対象は・・・・・・これだけ。

テミス
それは・・・・・・。

クローディエン
・・・・・・黒聖石サビクです。
アテナの記憶と私の肉体を結ぶ楔となっていたからでしょう。気がついたときには、私の懐に入っていたんです。
皆さんのおかげで、サビクの中身はすべて消滅しました。もはやこの中に、アテナの記憶は存在しません。
とはいえ、聖石そのものの機構は残っているはず・・・・・・。それを研究すること自体は、きっと有益なことでしょうし、私に与えられた、使命であるようにも思うのです。
それでは、私はこれで失礼します。リフィルさん、テミスさん・・・・・・星海の魂を、この時代を救ってくださりありがとうございました。

 


テミス
・・・・・・なるほど。ヘファイストスにまつわる顛末がわかったと。
今しがた、記憶のクリスタルの真相も明らかになったことだ。パンデモニウムの騒動は、いよいよ終結と言えるだろう。
私も、何ひとつ思い残すことなく消え去ることができる。ここへ至らせてくれた君には、本当に感謝しているよ。
せっかくだ、解かなくてもいい謎も解いていくかい?
この星海に漂うエリディブスの魂から創られた私が、何を記憶していて、本当はどう思っているのか・・・・・・。
正直に白状しよう。パンデモニウムについては記憶が補強されているようだが、それ以外は、あらゆることが穴だらけだ。
アテナの創り方による影響もあるだろうが・・・・・・「私」はもう、記憶が保持できなくなっていたのだろう?
ただ、おぼろげには思い出せるよ。君にとっては過去の、私にとっては未来の光景を・・・・・・。
水晶の塔の頂きで、君と私は相対する。そして、同じ場所から君を送り出すんだ・・・・・・
私たちの時代へ・・・・・・エルピスへ。
どうしてそうしようと思いついたのか、影法師には、正しいところはわからない。
・・・・・・が、推測を立てることはできる。
「私」は欠けた記憶のどこかで、君とパンデモニウムに挑んだことを覚えていた。
その姿を忘れ、経緯を忘れ、結末を忘れていたとしても・・・・・・ほんのひと欠片残った事実が、君はエルピスに行くべきだと「私」に思わせたんだ。
そうして君をエルピスに送ったことが、アーテリスを救うことに繋がったというのなら・・・・・・
無駄じゃなかったよ。君とテミスが共に戦ったことは・・・・・・何ひとつとして。
なら、恨むも何もないだろう?
まあ、当の「私」の魂は、違う考えかもしれないけれどね。
同胞たちとの再会が果たせるよう、苦労してこちらの海まで渡ってきたようだ。
テミスとしては理解しがたい執着だが・・・・・・そういう想いがあるというのも、万魔殿の深層を見た今ならば、認められる気がするよ。
さて、これ以上幕引きを伸ばすのは野暮というものだろう。
今の時代に、冥界が星海と呼ばれているのは気に入った。ここに煌めく星々すべてが、それぞれの生命だ。
数多の星のどれでもない。君という星が私の前に現れたことを、幸運に思う。
どうかこれからも、この世界すら超え、思うがまま飛び給え。遥か彼方を目指す、ほうき星の如く・・・・・・。

 

????
・・・・・・最後までわからないものだな。眠りの縁で、こんな真実に出会おうとは。
歴史は覆らない。勝者の道だけが続いていくが、しかし・・・・・・
この星が、こうして続いていくならば・・・・・・。
ああ・・・・・・。
光だ・・・・・・。

 


クローディエン
・・・・・・テミスさんとのお話も終わったようですね。
貴方のおかげで、新たな研究対象だけではなく、自分自身の起源ともいえる存在を知ることができました。
ラハブレアさんの言葉どおり、私はエリクトニオスさんではない。でも、この胸の中には、彼らが現代に残した痕跡を追いたいと、そう願う気持ちがあるのです。
芽生えた、この気持ちを胸に・・・・・・これからも、研究に邁進していこうと思います。
研究の途上で、貴方の力を必要とすることがあれば、また、お力添えをいただけますと幸いです。そのときまで、どうかお元気で!
―クローディエン
本職である星海研究に加えて、黒聖石サビクという、新たな調査対象も見つかりました。研究者人生をかけるに値する課題だと感じていますよ!

リフィル
アテナと聖石の関係について

クローディエン
その話をするなら、ともに調査を行ってくれた、ネムジジさんとルイスノさんも呼んできましょう。少々お待ちください・・・・・・。
黒聖石サビクを調べるべく、過去の文献にあたったところ、アテナや聖石、そして聖天使アルテマについて、興味深い記述をいくつか発見したのです・・・・・・。
それらの情報を整理し、ひとつの筋道を立ててみました。どれほど事実に近いのか、検証は不可能でしょうが、当事者である貴方には、聞いていただきたいと思いまして。

ネムジジ
聖天使アルテマが、この星を訪れた時期はわかりません。ですがアテナはなんらかの方法で、アルテマに由来すると思しき、謎めいた結晶を手に入れた。
そして、ラハブレアさんの言葉によれば、彼女は、それを「聖石」と呼んで熱心に研究・・・・・・。結果、生み出されたのが、黒聖石サビクとのことです。
サビクの内部には、アテナの記憶に加えて、信じがたいほど高密度のエーテルが込められていました。部分的にも解き放てば、一帯を焦土と化すほどの力です。

クローディエン
・・・・・・そう、カストルム・メリディアヌムを壊滅させた、古代魔法「アルテマ」の正体が、まさしくこれです。
アシエン・ラハブレアの発言によれば、一時、サビクは古代アラグ帝国の手にあったそうです。おそらく、彼自身が混沌の種として貸し与えていたのでしょう。
さらに、古代アラグ帝国の研究者たちが、聖天使アルテマと接触していたとする説も存在します・・・・・・。サビクの表層を解析できたのも、それゆえかもしれません。
いずれにせよ、第四霊災の後、サビクはふたたびアシエン・ラハブレアの手に戻り・・・・・・あとの顛末は、お話したとおりです。

ネムジジ
こうして歴史を紐解くと、聖石をもたらした、聖天使アルテマこそが、すべての元凶のようにも思えます。
一方で、アテナの肥大化した好奇心が、事態を悪化させたこともまた、事実だと思うのです。

ルイスノ
・・・・・・ラハブレア様が、人知れず呟いておられたのです。「彼女の監視のために、パンデモニウムを建造したこと。それ自体が間違いだったのだろうか」と。

クローディエン
失敗作たる創造生物の研究施設とは、表向きの理由・・・・・・。パンデモニウムは、古代人の規範を外れていたアテナを、収監するための「監獄」だったのです。
そうまでして、アテナに研究を続ける余地を与えたのは・・・・・・ラハブレアさんが抱いていた愛ゆえだったのでしょうか?


リフィル
近況について

クローディエン
幸い、肉体的な異常も見つかりませんでした。研究の日々を取り戻そうと、不在だった間の記録などに、ひたすら目を通しています。
もちろん、フルシュノ様やモンティシェーニュ学長のところにも、お礼を伝えに行ってきましたよ。
フルシュノ様は、務めを果たしただけと眉ひとつ動かさず、学長は、今回の一件で得た知見を教えてくれと大騒ぎで・・・・・・まったくもって好対照でしたよ。

 


―ネムジジ
今回の事件は、様々な要素が複雑に絡み合っていました。それらを紐解くだけで、時間がいくらあっても足りません!先生に、助手の増員をお願いしたいくらいです。

リフィル
調査状況の確認

ネムジジ
貴方や古代人の皆さんのおかげで、アテナの悪しき研究は、火の目を見ることなく終わりました。
クローディエン先生いわく、今後は、事件が星海に与えた影響を調べるとともに、残された「黒聖石サビク」の調査を行っていくとか・・・・・・。
アテナの記憶はすでに消滅しているそうですが、聖石の機構をはじめ、なんらかの力が残っているかもしれません。真実を知る私たちが調べるべきと判断したのでしょう。
恐怖心はもちろんありますが、サビクへの好奇心があることも否定し難い事実・・・・・・。覚悟を決めて、先生に付き従おうと思っています。


リフィル
「星海の脅威」について証言する

ネムジジ
リフィル様、少しよろしいでしょうか。星海に出現したパンデモニウムに関する戦闘について、証言をお願いしたいのです。
私自身、いくつかの場面に立ち会うことで、記録に残すべき、興味深い体験をさせていただきました。これを資料化するに際し、貴方の証言も追加したく思いまして。
・・・・・・これまでも、創造生物や転身した古代人、半神「ヘーミテオス」など、様々な敵が立ちはだかってきました。しかし、今回ほど奇々怪々な存在はいませんでしたね。
特に、アテナが目指した「神」の概念は非常に興味深い。彼女の研究は、あと一歩というところで潰えましたが、完成していたら、果たしてどうなっていたことか・・・・・・。
そして・・・・・・彼女が魅入られていた聖石も、人の欲望を肥大化させるなど、人智を超えた力を秘めていた様子!
貴方も、直接その目で見たそうですが・・・・・・。聖天使アルテマがもたらしたという聖石は、人をルカヴィなる異形に変えるほどの力を秘めていたとか!
アテナが完全な神へと至っていた場合、聖石の力すら、自在に引き出せていたかもしれません・・・・・・!そうなれば、とてつもない脅威と化したことでしょう!
これは妄想・・・・・・あ、いえ、推論が捗りますね!考察を進めるためにも、既存の文献から、類似の事例を探す必要がありそうです!

クローディエン
・・・・・・なるほど、それを見越してルイスノさんに、各地に伝わる力がある結晶について、調べさせていたのですね。

ネムジジ
ク、クロディエン先生!・

クローディエン
頼んだ仕事が滞っていたので、ルイスノさんを問いただしたら、貴方に頼まれた資料集めが終わらないのだと聞きまして、何をしているのかと思ったら・・・・・・。
業務に影響してしまうのは問題ですが・・・・・・また、今回もおもしろそうなことを考えているようですね!
貴方の奇想天外な推論は、私も大好きなんです。ルイスノさんの業務は、私が調整しておきますので、記録が完成するのを、楽しみにしていますよ。

ネムジジ
・・・・・・はい、ありがとうございます!
すべての可能性を、決して否定することなく、足りない情報は、膨らみ続ける発想力で補って!溢れ出る妄想を形にすることに、己のすべてを費やしましょう!

クローディエン
それでこそ私の助手です。よければ記録より先に、その素敵な考察を少し聞かせてください。

ネムジジ
ええ・・・・・・もちろんです!
それでは、ぜひリフィルさんも、私の推論を聞いていってくださいませ!

―ルイスノ
資料整理に研究の補佐と、激務の日々が戻ってきました。先生の無事を案じていた日々に戻りたいなどとは思いませんが、こうも忙しいと、少し息抜きがほしくなりますね・・・・・・。

 

 

 

解説

 

わかりづらい言葉

本文内で青色に塗った言葉についての補足です。

 

 

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