「幻魚術と訳あり鮮魚店」
ドヌハヌ
お前さんがローペリに認められた漁師かい。
突然だが、頼みがあってな・・・・・・
この「魚道楽ドヌハヌ」を継がないか!?
ガッハッハッ!
すまない、すまない、冗談だ。
いやぁ、これから店をどうするか悩んでたところに、気のよさそうな姉ちゃんが来てくれたもんで、浮かれちまってな。
というのも、うちが扱っているのは普通の魚ばかりじゃない。
俺が売り出したいのは・・・・・・
見た目が個性的だったり、驚くほど巨大だったり、普通と違う特別な性質を持った「怪魚」たちだ!
なにせ、なにせ、怪魚と呼ばれるような魚となると、トライヨラの住人には馴染みもなけりゃ、人気もねぇ。
だから、網にかかっても迷惑がられるばかりでよ。
せっかくの命なのに、そんなの忍びないだろ?
だから俺は、そうした怪魚たちを漁師から買い取って、売ろうとしてるわけだが・・・・・・
これがサッパリ売れやしねぇ。
どうしたもんかと困り果ててる毎日なのさ。
最後の手段として、普通の魚屋になることも考えてるが、ギリギリまで怪魚のことは諦めたくねぇ。
姉ちゃん、姉ちゃん、どうか力を貸してくれ!
さにすと
魚のことなら任せて
ドヌハヌ
やってくれるんだな、助かるぜ!
そんなら・・・・・・
????
ドヌハヌさーん!
ちょっと助けてくださーい!
仕入れ先の漁師
ちょっといいですか?
魚の荷揚げをしている桟橋で、困ったことがあって・・・・・・。
ドヌハヌ
ほう、ほう、困ったことだって?
すまねぇ、すまねぇ、漁師の姉ちゃん。
桟橋はすぐそこだから、ちょいと一緒に来てくれや!
―青い衣の青年
あ、あなたたちは・・・・・・?
―ドヌハヌ
ん?
こいつ、ここらじゃ見ない顔だな。
仕入れ先の漁師
この人から魚を求められたんですが、話を聞くと、どうも必要なのは普通の魚じゃないようでして・・・・・・。
ドヌハヌさんに頼むのが適切だろうと、来てもらったんですよ。
青い衣の青年
あなたが魚屋のドヌハヌさんですね!?
僕、どうしても「強い魚」がほしいんです!
売ってください!
ドヌハヌ
おい、おい、わかりやすく説明してくれ。
強い魚っつーのは、どういう・・・・・・?
パシェニネ
自己紹介もせずに、失礼しました!
僕はワラキ族のパシェニネと申します。
ワラキ族はサカ・トラルに住まう少数部族。
あらゆる自然を崇拝し、そこに少しでも近づくために、獣や魔物が使う魔法を体得することを、美徳としているんです。
さにすと
魔物の魔法を使うなんてすごい
パシェニネ
ええ、そんな一族ですから、覚えた魔法を使って指定された複数の魔物を狩らなければ、一人前として認めてもらえません。
だからこそ、ずっと努力してきたのですが・・・・・・僕はなぜかひとつの魔法しか体得できませんでした。
それこそが、ある海鳥から会得できた、幻影の魚を撃ち出す魔法「幻魚術」。
僕はその術を極め、一人前になるための試練を突破したい!
魔物の弱点を突けるような魚を撃ち出せればどんなあいてだろうと枯れるはずです。
そのためにも強そうな魚を・・・・・・試練の最初の魔物、「弾力ある皮膚の大蛙」を倒せるような、とびっきりの魚を売ってください・・・・・・!
ドヌハヌ
なんとも、なんとも、面白そうな話じゃねぇか!
それにしてもこいつぁ、店にとっても願ってもない申し出だ・・・・・・。
だってよ、仏の魚じゃない、強そうな魚をほしがる客なんて、この「魚道楽ドヌハヌ」にぴったりじゃねぇか!
だが、店の売り上げを保つには、普通の魚の仕入れも必要だ。
俺はそっちを担当しつつ、どんな怪魚を狙えばいいか考えるんで、お前さんには、実際の調達係を頼みたい!
ありがたい、ありがたい!
じゃあうちの店に戻って、詳しい話をしようじゃねぇか!
―パシェニネ
わああ・・・・・・!
素敵な魚がいっぱいいますね!
ドヌハヌ
野生の魔物たちから魔法を会得する、風変わりな少数部隊がいるって話は聞いたことがあったが・・・・・・まさか、まさか、魚の魚影まで出せるとはよ!
怪魚に負けず劣らず、パシェニネもおもしろい奴じゃねぇか。
ドヌハヌ
怪魚に負けず劣らず、パシェニネもおもしろいやつじゃねぇか。
俺は普通と違うやつは大好きだぜ。
さっき軽く聞いたんだが、まずは、「弾力のある皮膚の大蛙」を倒すための魚がほしいくらい。
ブヨブヨだから、少し衝撃を与えた程度じゃ倒せないんだろうな。
どんな魚がいいか考えてみるから、ちょいと、ちょいと、待っててくんな!
―パシェニネ
わああ・・・・・・!
素敵な魚がいっぱいいますね!
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