「幻魚術のためのトゲトゲ怪魚」
ドヌハヌ
よし、よし、漁師の姉ちゃん!
いや、ともに店の将来を担ってくれる者にその呼び方は味気ねぇ、さにすとと呼ばせてもらうぜ!
パシェニネがほしいっていう、「弾力ある皮膚の大蛙」を倒せる魚について考えてみたんだが・・・・・・
ぴったりなのは、ずばり「キングパファー」!
こいつのトゲならブヨブヨの皮膚も関係なしに、ブスッと刺さって一撃だろうさ!
そんでな、パシェニネが言うに、魚の幻影を出すのには、その魚の生命力をしっかり取り込む必要があるんだと。
だから、だから、それなりの数を頼むぜ!
ベイサイド・ベヴィーで買える「クリムゾンラグワーム」を餌に、満ちた玄関あたりで釣り糸を垂らせば、釣れるはずだからよ。
釣れたら俺のとこまで持ってきてくれな!
―パシェニネ
この街にやってきたのは、トラル大陸中の品物が集まってくると聞いたからなんです。
魚については本当に、おふたりが頼りです・・・・・・!
ドヌハヌ
「キングパファー」は満ちた玄関あたりで、「クリムゾンラグワーム」を釣り餌にすると釣れるはずだ!
パシェニネのためにも、よろしく頼むな!
立派な型の「キングパファー」じゃねぇか!
こいつなら、パシェニネも飛びあがって喜ぶだろうよ!
さにすと、ありがとうな!
転がり出ていかないように、桶に入らせてもらったぜ!
この「キングパファー」って魚はよ、生まれつき全身に鋭いトゲを持ってて・・・・・・死んでても網を破っちまうような、近海の厄介者なんだ。
パシェニネ
すごい、初めて見ました・・・・・・!
こんなにトゲトゲした魚が海にいるんですね!
ではさっそく、こちらをいただいても?
ドヌハヌ
この魚はお前さんのために仕入れたんだから、無論、好きにしていいが・・・・・・生命力を取り込むってことはつまり・・・・・・?
パシェニネ
はい、もちろん食べます!
このトゲまでまるっと!
ドヌハヌ
お、お前さん、悪いことは言わねぇからやめといた方が・・・・・・!
パシェニネ
以前にもお話ししたように、僕は幻魚術しかできません。
ですが、普通なら一種類の魚しか撃ち出せないはずなのに、なぜか僕だけは、様々な魚の幻影を作れるんです。
これこそが最大の長所にして、僕にとっての唯一の武器・・・・・・!
そのためには、その魚を余すところなく食べ、命の力をいただく必要があるんです!
魚の生命力を、身体が覚えるといいますか・・・・・・たくさん食べた分だけ、幻影の精度もあがるんですよ!
なので、僕はどんな魚も食べられるように調理法を学びました。
この「キングパファー」も工夫すれば、トゲまで美味しく食べられると思います!
ドヌハヌ
なるほど、なるほど・・・・・・そいつは感心だ。
俺はどんな魚も塩振って焼いたら美味いと思ってたから、調理法なんてのは、あまり考えてこなかったなぁ。
もしかして、怪魚が敬遠されてきた理由には、部族によっちゃ、とても食べられない形状や味をしてるっていう、事情もあるかもしれねぇな。
なら、調理法を客に教えたり、調理したもんを売ったりすれば、もっとみんなが怪魚を身近に思ってくれるんじゃ・・・・・・!
試練の魔物はいくつもいると言ってたし、お前さん、怪魚はまだまだ必要なんだろう?
それなら、毎度美味い食い方を教えてくれると助かるぜ!
パシェニネ
ええ、もちろんです!
こちらこそ、今後ともよろしくお願いします!
ドヌハヌ
それにしても・・・・・・お前さん、魚を調理して食うような場所はあんのか?
パシェニネ
それが・・・・・・大都会のトライヨラには来たばかりですし、宿には魚を捌けるほどの調理場はなくて、どうしようかと・・・・・・。
ドヌハヌ
ガハハ!
そうだろうと思ったよ!
じゃあ翼鏡の街にあるうちで料理すりゃいい!
パシェニネ
何から何まで、いいんですか・・・・・・!
ありがとうございます、ではお言葉に甘えて、さっそくこのお魚を調理してます!
お待たせしました!
身は汁物に、トゲはパリパリに揚げてみたので・・・・・・さっそくいただきます!
あぁ、美味しかった!
ごちそうさまでした!
ドヌハヌ
ほ、ほんとにトゲまで食ったな・・・・・・。
パシェニネ
さにすとさん、ありがとうございます!
おかげでこの魚の生命力が、体中にみなぎってくるのを感じます!
魔物に立ち向かうのはまだ早いだろうから・・・・・・ひらけたところで、幻魚術の試し撃ちをしてきていいですか?
ドヌハヌ
おうとも、おうとも、行ってこい!
そんなわけで、さにすと。
パシェニネが戻ってくるまで、ここらの釣り場を楽しんどいてくれな!
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