サブタイトル「新たなユールモア元首」
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【前回のあらすじ】
【ストーリー】
政務官レイデン氏からの課題に対し、真摯に取り組むチャイ・ヌズ氏。
ここでの頑張りがユールモアの未来を救うのだろうか。
さて、貸し出し用のタロースの調達をどうするか。
それは、今コルシア島にいる制御を失ったタロースを捕獲し、再利用することで解決できる。
そんなことができるのですか?
企みの表情のチャイ・ヌズ氏が取り出したのは「ダイダロス社特製の絶霊玉」。
タロースにぶつけることで、エーテルの流れを絶ち、機能を停止できるのだという。
機能が停止したタロースは命令を書き換え、ユールモアへ向かうようにし、細かい調整はユールモアで行うという算段。
ただ、このタロースは制御不能の状態のため、敵を見つけると襲い掛かってくる。
そこで立会人のさにすとがタロースとの間合いを図り、隙を見せたところでヌズ氏に報せ、ヌズ氏が自ら絶霊玉をぶち込むという流れ。
それくらいはお手の物。
しっかりと間合いを見極めて、チャイ・ヌズに正確な指示を送りますよ!
これまで石橋をたたいてきたチャイ・ヌズ氏の頑張る姿を見て、レイデンさんが改めて評価をし直した。
“まごうことなくユールモアの元首に相応しい”と。
カイ・シルもチャイ・ヌズ氏の覚悟に感服。
いい背中を見ることができたな。
さて、捕獲したタロースとともにユールモアへと帰ろう!!
ゲートタウンではドゥリア夫人が、夫の帰りを今か今かと待っていた様子。
夫の姿を見るや否や力一杯抱きしめた。
苦しむ姿もどこか幸せをかみしめているようにも見えるな。
ひとまず元首を引き受けることを報告し、ヴァウスリーが使用していた執務室で改めて就任のあいさつを執り行うことになった。
チャイ・ヌズ氏は、あくまで「元首代行」という役位で、これまでの市民と非市民との関係や労働市民と自由市民との関係などのヴァウスリー施政下のゆがんだ制度を正すことを重点に置く。
この国をどう大きくしていくのか、どういう方向へ舵を切っていくのかは、すべての者と議論を繰返す必要があると説く。
山積みの課題は、過去の自由市民たちの怠惰な生活がもたらした温床。
夢から覚めた現状、現実を生きていかねばならない。
皆の安心・安全を根幹に、それが達成されたときにまた今後のユールモアの在り方について語ろうではないか!と宣言する。
すごいな、やっぱり。
先を見通せている証拠だ。
今理想を口にしたところでさらに課題が増える。
しかし課題をひとつずつ解決していけば、今後のユールモアの方向性も見えてくるのかもしれない。
それを全員の力を合わせて成し得ようとする心構えには説得力も出る。
強い意志を以て宣言を終えると、観衆からは大きな拍手が贈られた。
そこにはなにか“この人とならば、立ち直ることができそうだ”という期待もこもっていたような気がした。
カイ・シルもこの演説から自分のやりたいことを見つけられそうだという。
新しいユールモアに合わせて、新しいカイ・シルの姿を見ることができれば、闇の戦士一行としてもうれしい気分になるんじゃないかな?
さて、立会人としての役目を終え、今後成長するユールモアの姿を楽しみながらクリスタリウムへと帰っていくことにした。
テレポを利用して最速で戻ったにも関わらず、水晶公にはチャイ・ヌズ氏が新ユールモア元首に就任した報せが届けられていた。
「一報」とやらはどれだけのスピードを誇るのか?
それともその鏡でまた盗み見していたんか?
まあいい、ともかく研究の進捗を共有してもらおう。
まず、帰還に用いる道具は従来の白聖石ベースにしつつも、新たに設計した魔具にすることになったらしい。
白聖石では、魂を納めることはできても、記憶が欠落してしまうようだ。
魂が欠落すれば衰弱死、記憶が欠落すれば生きているが記憶喪失となるようで、両方とも保持し、肉体へと注ぎ込むことのできる新たな魔具を生み出す必要が出てきた。
魂は白聖石で安定しているので、残すところは記憶をこの魔具に込める方法。
水晶公は、彼の持っている紅血の魔眼にヒントがあるという。
なんでも、古代アラグの皇族により託された血と記憶を後世に継承していくという秘術が与えられていた。
これをうまく利用することができれば、魔具に記憶を収める方法も確立できるのでは、という見立て。
方向性は決まったので、後は研究者たちに早く成果物を出すように指示した。
さにすとはこの情報を持って、ずっと心配してくれているタタルやクルルの元へと帰ることになった。
石の家へと着くと、タタルがお出迎えをしてくれた。
少し話をしていると、全員の身体の診察を終えたクルルが戻ってき、マトーヤの助言を元にしばらくは生命力の揺らぎも安定する処置をしてくれていた。
こちらもさっき得た情報を共有する。
彼らの研究の成果を信じ、こちら側は肉体の維持に努めることで協力体制を敷いた。
すると懐かしい声が背後からやってきた。
エスティニアンだ。
タタルとクルルからの要請で帝国内部を探っていたエスティニアン。
皇帝を失い、皇太子ゼノスも消えたとあって、帝国内は大荒れの様子。
ということはギムリトの戦場を一旦は落ち着くだろうな。
第八霊災の危機でもある黒薔薇についてもゼノスが使用を阻止したらしいので、目下懸念することはないとみられる。
報告を終えたエスティニアンは、タタルからの休息要請を振り切り、また姿を消した。
彼は自由に行動させてやるほうがノビノビ力を発揮してくれるさ。
さてと、原初世界側では停戦の様相、第一世界側では研究の成果待ちとさにすとは特にやることがなさそうなので、このまま進捗を見つつ、コメラ村の問題でも解決してやろうかなと考えているところだ。
怪しい人物の暗躍がこれから始まるのだろうか・・・・・・!?
第8章「凶星の追憶①」へ続く。
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