「根雪に包まれて」
ローデニケ
キミ、海の向こうから来た人、だよね?
もしかして、祭器の件をブルケブから聞いて・・・・・・?
ああ、これもイッカクが、片時も眠らずにワタシたちを見守ってくれてるおかげね。
その導きに、感謝を!
ワタシはローデニケ。
サカ・トラルの北の果てにある、風さえ凍る土地から来たんだ。
うちの部族の宝は、「イッカクの祭器」。
イッカクは、悠然と海にたゆたいながらも、周囲への警戒を怠らない用心深い動物でね。
そのトラルヴィドラールともなると特異な力を持っていて・・・・・・自分の眠気を他者に移すことで、決して眠ることなく外敵を撃退し続けたと言われているんだよ。
つまりね、イッカクの祭器を所持する者は、他人を強制的に眠らせることができるの!
その力を悪事に使われたら、大変なことになる。
それで、部族イチの勇士「テントーワ」が、祭器を取り返すため、ひとりで海の向こうに渡ったんだ。
ワタシもついていきたかったんだけど・・・・・・足手まといになりそうだから、ここで連絡役を。
テントーワは昔から向こう見ずで、突っ走ってばかりで。
ワタシ、とても心配・・・・・・。
だから向こうのことに詳しくて、戦いにおいても彼を護れる、そういう人に協力を頼めたらって、ブルケブに話してたの。
そうそう!
向こうと往復してる船乗りが、彼からの手紙を届けてくれたの。
犯人は「イシュガルド」という国へ向かったようだ、って・・・・・・。
いざ犯人と対決することになったとき、独りでは、眠気をもたらされたときに太刀打ちできない・・・・・・。
どうか、彼を追ってイシュガルドへ向かってくれないかな!
さにすと
イシュガルドなら知っている場所だ。
ローデニケ
ありがとう!
よろしくね、さにすと!
テントーワはイシュガルドのこと、ほとんど知らないはずだから、まず情報を集めるため、この店みたいな場所に行くと思う。
だから、そこに行けば彼の足取りがわかるかも。
テントーワの特徴は、ええと・・・・・・青い髪に、私と同じ部族の装いで、それから剣を差してる。
彼が来なかったか、イシュガルドの「酒場」の人に聞いてみて!
―ローデニケ
テントーワは、イシュガルドに向かったそうなの。
彼の居場所について、「酒場」の人に聞いてみて!
ジブリオン
よう、姉さん。
一杯ひっかけていくかい?
西方の大陸から来た旅人ね・・・・・・。
そう簡単に客の情報を漏らしちゃ酒場の信用に関わるんだが・・・・・・
ほかならぬお前さんだし、話を聞くかぎり、今回は教えてやってもよさそうだ。
元気のいい異国の青年がひとり、たしかにウチへ来た。
宝を盗んだ奴を探してるとかで、手当たり次第に客を捕まえては、犯人の風体を説明して、見かけてないか聞いてまわってたよ。
あいにく、ここでは空振りだったようで、ほかに人が集まる場所はどこかと尋ねられてな。
だから「宝杖通り」のことを教えてやったんだ。
そいつに会いたいなら、お前さんも向かってみるといい。
―ジブリオン
西方の大陸から来たらしい青年なら、「宝杖通り」にいるかもな。
そいつに会いたいなら、お前さんも向かってみるといい。
異国風の青年
クソッ、犯人の目撃情報を聞きたいだけなのに。
レイギだとかなんとかって、頭が固い人が多いな・・・・・・。
テントーワ
えっ?
オレがテントーワだけど・・・・・・オマエ、なんでオレの名前を知ってるんだ?
ローデニケから協力を頼まれたって?
うわ、すごい助かるよ!
実はさ、聞き込みがあんまりうまくいってなかったんだ。
「それが人にものを尋ねる態度か」って怒る人もいて・・・・・・ウチの集落じゃ、これが普通なんだけどなー。
犯人がイシュガルドまで来たのは間違いない。
盗んだ祭器で何か事件を起こすと思ってたんだけど、今のところ、特に被害は出てないみたいだ。
だから手がかりと言えば、その外見くらいで・・・・・・って、そうだ、オマエにも教えておかなきゃ。
犯人は、エレゼンっていう種族の女性だ。
赤い髪と鳶色の瞳が印象的で、額に目立つ傷がひとつ・・・・・・あとは口元にほくろがあったな。
ソイツは、オレの故郷を訪れて、祭器を研究してる学者だとか言って近づいてきた。
名前は言わなかったから知らない。
うちの部族は、昨年の大寒波のせいで食料が不足しててさ。
大量の肉や野菜、果実を手土産に渡されたもんだから、ついつい受け容れちゃったんだよ。
けど実際は、祭器を狙う盗人だったってわけ。
思えば、学者を名乗っておきながら、ずいぶん隙のない身のこなしで、剣術に長けてそうではあった。
辺境をひとりで旅するためには、必要な力ではあるのかと、そのときは気にも留めなかったんだけど・・・・・・。
さすがに、もっと警戒しておくべきだったな。
犯人の情報は、そんなところ。
今の話から、どこへ当たりをつけて探せばいいのか、思い浮かぶことはないか?
さにすと
剣術に長けた者なら神殿騎士団が知っているかも。
テントーワ
キシって、街のあちこちにいる剣の使い手たちのことか。
たくさんいるけど、誰に聞けばいいんだ?
さっきの酒場のすぐ隣に、そいつらの詰所があったって?
ありがとう、それじゃそこに行ってみよう!
―テントーワ
ここが神殿騎士たちの詰所だよな?
この人に話を聞いてみよう!
フィルマルベル
これは、さにすと殿。
神殿騎士団に何か御用でしょうか?
「自由の扉」なる組織の一員が、西方の大陸で、危険な力を秘めた祭器という宝を盗んだ。
そして今、イシュガルドに潜伏しているかもしれない、と・・・・・・。
貴重な情報提供、誠に感謝いたします。
皇都に脅威が迫っているというのであれば、我々神殿騎士団も、犯人確保に協力しないわけにはいきませんね。
テントーワ
ありがとう!
それで、犯人について何か心当たりはないか?
フィルマルベル
赤毛のエレゼン族の女性、でしたか。
それに、鳶色の瞳と・・・・・・
待てよ、額に傷があって、口元にほくろ?
もしや・・・・・・。
テントーワ
知ってるのか!?
フィルマルベル
いや、その・・・・・・我々の面子に関わる問題がありまして。
外の方に話し良いものかどうか・・・・・・。
テントーワ
メンツってなんだ・・・・・・?
それって、皆の命よりも大事にしなきゃいけないものなのか?
オレのことは信用してくれなくてもいい。
けど、それで皆が危険な目に遭うのはイヤだ!
さにすと
彼に協力する自分を信じてもらえないか?
フィルマルベル
かつて竜詩戦争を終結に導き、人と竜がともに歩む世をもたらした英雄殿がそうまで仰るとか。
テントーワ殿、でしたね。
互いの文化は違えど、他者を思いやるその心は本物。
我々も、あなたを信じましょう。
テントーワ
えっと・・・・・・それで犯人のこと、何か知ってるのか?
フィルマルベル
先ほどの話を聞いて、思い浮かぶ人物がひとり・・・・・・。
元神殿騎士の「レオフィーヌ」です。
誇り高き神殿騎士団にとって、彼女の存在はまさに汚点。
数年前に不名誉除隊をして以来、その行方はようとしれ知れず・・・・・・。
今や国家転覆を目論む危険な組織に身を寄せているとあらば、神殿騎士団の威信にかけて、彼女を逮捕する必要がありましょう。
騎士団の上層部にもこの件を共有し、今後の対策について協議するようにいたします。
何かわかりましたら早急にお報せしますので、しばしお待ちを。
テントーワ
うわ、ホントに?
ぜひ頼むよ、ありがとな!
それじゃさにすと。
今後のこと、ちょっとあっちで話そう。
―フィルマルベル
すぐに騎士団上層部にも情報を共有し、今後の対策について協議するようにいたします。
テントーワ
犯人の正体が、レオフィーヌとかいう、この国出身の騎士だったってことはさぁ・・・・・・。
隠れ場所にも詳しいだろうから、闇雲に探してもダメそうだ。
オレはまだこっちの事情に疎い。
だから、神殿騎士団から情報が入るまで、できるかぎり街の中を回って勉強しておくよ。
オマエはいつでも動けるように準備をしておいてくれ。
これからよろしくな!
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