「街の金荒物屋さん」
ラルソジ
ん、ローペリの紹介で来てくれた金属加工の職人か?
いやあ、助かった・・・・・・!
俺はラルソジ、この「金荒物屋ラルソジ」の店主だ。
鍋やら包丁やら、とにかく金属製の日用品なら、なんでも作る街の鍛冶屋と思ってもらえればいい。
それも、日々の暮らしに支障が出ないように、頼まれたら、できるだけ「早く」仕上げるのがうちの信条だ。
まぁ、その分、品質重視の高級志向とは縁遠いがね。
俺も昔はこの分野で、王宮の御用達になりたいと思っていたこともあったが・・・・・・それは、若気の至りってやつだな。
繊細で豪華な金銀細工なんかは、もっぱらモブリン族たちの領分さ。
だが、日用品で民の暮らしを支えることだって立派な仕事だろ?
とにかく、うちは「仕事の早さ」を売りにしてるってわけだ。
あんたを紹介してもらったのは、ほかでもない。
そんな仕事で、ちょいと困ったことが起きててな・・・・・・。
最近、ここで働きたいという奴が来たから雇ったんだ。
金属加工の経験者だという、そいつの働きを期待して、普段は受けない大口注文も受けるようにしたんだよ。
しかしな、その新入り「パパーニ」が・・・・・・真面目な態度とは裏腹に、上手く仕事が回せていない。
このままじゃ、注文してくれた客に迷惑をかけちまう。
もちろん、然るべき報酬を渡すから、どうかうちの店を手伝ってほしい・・・・・・!
さにすと
任せて!
ラルソジ
ありがとう、助かるよ。
その頼もしさ、そんじょそこらの職人じゃなさそうだな。
じゃあ、挨拶がてら「パパーニ」を呼んできてくれないか?
ベイサイド・ベヴィーに、鍋の素材を仕入に行かせたんだが、なかなか戻ってこないんだよ。
パパーニ
あれ・・・・・・?
あなたはウクラマト様と一緒にいた・・・・・・!
どうも、私は元壺匠のパパーニ!
覚えてないかもしれないけど、アースンシャイアであなたたちとすれ違ってたんだ。
思えば、モブリン族の人たちが提供する環境は最高だったなぁ。
寝床はふかふかだし、ごはんも美味しいし、家事を一切任せて、ものづくりに没頭できたから・・・・・・!
でも大嵐のせいで、物資や世話係の手が足りなくなっちゃって、仕方なく壺匠の契約を破棄して、トライヨラにきたの。
あの環境は、しばらく得られないみたいだったから・・・・・・。
あなたは、どうしてここに?
金属加工の職人として、ラルソジさんのお店を手伝ってくれる・・・・・・!?
すみません、すみません!
自分のせいだぁーーーーーーー!!
私が、ラルソジさんからの依頼を、全然上手にこなせないばっかりに・・・・・・!
さっき言ったとおり、私は壺匠だったでしょ?
モブリン族の人たちが求めるのは、豪華な金銀細工だから、いざ日用品を作れと言われても・・・・・・
鍋に使う素材にはなにが最適かわからなくて、店の前でずっと悩んでたら、もうこんな時間で、途方に暮れて、ここに・・・・・・。
お使いひとつ満足にこなせないなんて・・・・・・これじゃあ、職人失格だぁ・・・・・・。
あなたはご存じのようだけど、壺匠の存在を知らない人も多い。
だから職人としての実績を信じてもらえなくて、トライヨラでの仕事が決まらないなか・・・・・・
ラルソジさんは・・・・・・あの人だけは、壺匠のことは知らなくとも、雇ってくれた。
そんな恩情に報いたい・・・・・・。
こんなところにあなたが来てくれたし、鍋に使う素材についても、改めて教わらないと。
くよくよしている場合じゃなぁい!
まずは「ラルソジ」さんのお店に戻らなきゃ!
―パパーニ
大口注文、がんばらないと・・・・・・!
―パパーニ
なるほど、トライヨラで手に入る素材のなかで、鍋作りに使えるのは「トラル鉄鉱」からできるインゴットと・・・・・・!
ラルソジ
さにすと、すまなかった。
まさか、パパーニが鍋に使う素材すら知らなかったとはな・・・・・・。
まあいい、素材の仕入れは後回しにするとして、ふたりが揃ったところで、大口注文の話を進めよう。
準備が整い次第、改めて声をかけてくれるか?
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